3万人オーバーで拡張可能なスタジアム


ここからはコンセプトを実現するために用いたアイディアや構造を紹介します。最初はコンセプト①と④、広島市民球場跡地に収容人数3万人オーバーで拡張可能なスタジアムを建てるを実現する構造について。

スタジアムの建物自体は球場跡地にそのまま入ります。バスセンター通路との空間は一応通路用として、1車線対向道路分ぐらいのスペースをあけました。

東側

北側。ピッチと1階席は掘り下げてあるので地図に隠れちゃってます。

北側

西側。

西側

西側その2。

西側その2

南側。南側の建物は今ある森の部分とかつかつ。基町ポンプ場と勝ち鯉の森も今回作ったスタジアムの中では整備予定。

south

南側からひいてみた時の絵。

南側その2

原爆死没者慰霊碑と原爆ドームを結ぶ軸線上の絵。ちょうどスタジアム1階のコンコース部分が軸線上にあたり、普段はマーケットとして想定した人がわんさか通る場所として設定しました。毎年8月6日の、昼間は鎮魂、夜は華やかにという1日の時間の流れを、空間に当てはめるという考えのもとです。原爆から立ち直る広島というイメージでもあります。

peace_axis

景観という意味では、スタンドが平和の軸線にあり、う~ん。。。と思われるかもしれないけれど、外観を工夫することで更地や通路があるだけのものよりは、もっと意味のあるものになるのでは?と思います。

といいつつも、実際は原爆ドーム周りに木がたくさんあるので、景観的には、原爆ドームからはスタジアムは見えないような気もします。という風に球場跡地にスタジアムを入れてみました。

広島市民球場跡地はさんざんメディアでもあがってるように、広さの問題と、高さ制限の問題があって大型のサッカースタジアムを建設するには狭いのは確かなこと。それでもより多くの観客が入れるようにするのが今回のスタジアムのコンセプトのひとつ。ということで、スタジアム構造を少し工夫してみました。

収容人数アップ構造 スタンドを建物の外にはみださせる

イメージとしては下の図のような感じ。

収容力アップ構造

こうしてあげれば、スタジアム建築面積を大きくせずともたくさんの観客を入れられる。詳しくは専門家でないのでわかんないけれど、道路や他の敷地にスタンドがかぶるようだと法律上は問題あるけれど、公園敷地内でならば全然問題ないかと思います。

この構造は、スタジアムの構造としては、既存のスタジアムでもよく見られる構造。例としては、新潟のビッグスワンはかなりえぐいです。横浜の横浜スタジアムも10m近くはスタンドを空中上で建物の外にはみださせてるのではと感じました。広島ビッグアーチのスタンドもスタンドが建物外にはみ出す構造で、そのスタンド下が人の動線になってます。

南北のスタンドはこの構造が収容人数にかなり効いてきます。西スタンドはそれなりに建物を設置するスペースがあるのではみ出し構造にする必要性はないんだけど、平和記念碑と原爆ドームの軸線にあたる位置なので、人の動線としてそれなりの空間を確保するという意味で、スタンドはみ出し構造にしました。

スタンド構造

スタンドはみ出し構造の意味合いとしてはこんなところだけど、自分が思ってるのは機能以上にこの構造。。。かっこいいんです。

芝生保護のためのエアロダイナミクススタジアム構造

今回は、スタンドの傾斜角を35度にするのをまずは優先。臨場感、見易さのためです。傾斜角をきつくするとスタジアムの高さが増すので、高さ制限を守るためにピッチを地上0mから5m掘り下げて作っています。

掘り下げると風通しが悪くなって、芝生に悪影響が出てきます。これは残念ながら確実。建物でぐるっと囲むのといっしょだから。

ではあるけれど、空気の流れを考慮し、流れを作り出すスタジアム構造と工夫することで解決できるのでは?というのが自分の考えです。なので、スタジアム構造を工夫してピッチを掘り下げながら風通しが良いスタジアム構造を考えました。

スタンド横の大きな空間。ここはスタジアム内外からの景観を意識したものではあるけれど、風の出入り口としても大きく機能します。

南西コーナー外観

車両アクセスも風の出入り口の機能を果たします。

スタジアム内車両出入り口

エアロダイナミクススタジアム構造の最もキーとなる部分は屋根。屋根上部をゆるやかな三角形にして、屋根がひとつのダクトのように外部から風を取り入れて内部に風を送るような構造とすることで、スタジアム内部に風を運びます。スタジアム内部に入った風はスタジアム内を右往左往しながら車両アクセス口や、南スタンド横の空間を通ることでスタジアム内に風の流れを作ります。

これでエアロダイナミクスを考えたスタジアムが実現。

スタジアムに風を入れる

の予定。。。実際には技術が発達した今の世の中なので、きちんとシミュレーションすればはっきりすると思います。もしかしたら都市のビル間で見られるような強く乱れた風が流れる空間になってしまうかも。。。その可能性も否めません。

もともと屋根が低いってのも風通しにも日差しにも好影響です。

拡張可能なスタジアム構造

屋根はボルトオン構造で取り外し可能な構造にします。拡張を想定するスタンドは西スタンドと北スタンドのみ。南、東スタンドは敷地の広さ上難しいためです。裏技がなくもないけれど(バスセンター上にスタンドを通してNTT通信センター、メルパルクと接続する)、まあこれはどう考えても難しいだろと。

で、拡張する時は、

  • ①屋根の柱を上に延長してまずは屋根をかさあげします。
  • ②スタンド部分を延長。
  • ③延長したスタンドの後端と屋根をつなぎ、柱とシートをかぶせることで新たな屋根部分が誕生。
  • ④拡張したスタンド部は強度的に厳しくなってくるので新たな柱を建てる
  • ⑤コンコース、階段、スタンド出入り口を設置する

これでスタンド拡張の完成です。

スタンドの拡張

ただし、予想はできますが、拡張することで、今回自分が作ったモデルでは球場跡地の高さ制限はオーバー。

ピッチをもっと掘り下げれば高さ制限を守りつつも実現することは可能。ではあるけれど、ピッチをどれだけ掘り下げ可能なのかは自分では判断できないのでなんとも言えないところ。

ま、土地の広さ、スタジアム構造を考えた上のことだけだと、決して不可能ではないです。落としどころとしては、仮設として一時的な拡張なら許されるが、常設となると厳しいという感じです。

個人的な意見としては、常設としての拡張性を考えるなら球場跡地以外のところの方が。。。なんだけど、球場跡地スタジアムにはアクセスが良い、ランニングコスト回収性が高い、何より旧市民球場との関連性、広島の街をより一層意味のある魅力的なものに変えられるという、他の土地では絶対にありえないメリットもあるので、う~ん、悩ましい。。。

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