『ひろしま夢スタジアム~スタジアムは、街づくり~』シンポジウム行ってきました。のでレポートと感想を。
今回のシンポジウムの主な内容としては、
- ヨーロッパのサッカースタジアムの機能・事例の紹介
- 日本国内のサッカースタジアム最新動向・事例
- 夢スタ実行委員会の今後の活動方針・予定
といったもの。
START FOR 夢スタジアム実行委員会
レポートの前にまずは自分もいろいろと混乱してきてる広島のサッカースタジアム建設の活動団体について。今回、シンポジウムを主催したのはSTART FOR 夢スタジアム実行委員会(夢スタ委員会)という委員会で、これはサンフレッチェ広島、広島県サッカー協会、サンフレッチェ広島講演会の3団体が共同で立ち上げた委員会。
来月から開催されるらしいと言われてる広島のサッカースタジアム協議会とは別物。全く別物というと、それはさすがに違うかな。サンフレッチェ広島、広島県サッカー協会などが協議会に入らないわけはないと思うけど、実態は自分もわかんないです。
旧広島市民球場跡地に3万人クラスの複合型サッカースタジアムを
シンポジウムの最初に、サンフレッチェ広島の小谷野社長から、38万人の署名が集まったことの報告とお礼、そしてその後、ついに出たか!という宣言。
『夢スタ委員会は旧広島市民球場跡地に3万人クラスの複合型サッカースタジアム建設を目指して活動します』
まあ、ある程度予想はしていたけれど、来月から始まる広島サカスタ協議会をにらんでのこのタイミングの宣言発表だったんでしょう。
旧広島市民球場跡地への建設を目指す意義
どうして旧広島市民球場跡地なのかは小谷野社長は言わなかったけれど、まあそれは言われなくてもわかること。
まずは、広島市内中心部でアクセスが良好。これは誰もが理解するところ。だけど「広島の街づくり」ということで、旧広島市民球場跡地にサッカースタジアムを持ってくることは、アクセス、市内中心部、という利点以上に重要な大きな意義があると自分は考えてます。
旧広島市民球場跡地は50年以上も前から、広島東洋カープの本拠地、広島市民球場として広く広島市民・県民から愛されてきた広島のプロスポーツスタジアムの聖地だった場所。
仮に旧広島市民球場跡地にサッカースタジアムが出来たとすれば、広島のプロスポーツスタジアムの聖地を復活させることができる。広島の歴史と伝統を受け継ぐことができる。それだけでも広島にとって、とってもとっても大きなこと。
歴史と伝統というのは街づくりにおいて本当に大事。世界遺産とか観光地とか歴史が関連してるものがほとんど。厳島神社だってそうでしょう。木で考えても樹齢5年の木です、と言われたら、あ、そう、だけだけど樹齢1000年の木です、と言われたらそれだけでおぉー!!ってなる。
もちろん、近年の東京のスカイツリーみたいに新しいものも街づくりとしてはインパクトがあるのも事実。だけれど、古くから愛されてきたものを自分たちでわざわざ捨てるなんてありえないから。
広島サカスタ協議会への先制パンチ
小谷野社長の後に登場したのは、自分もびっくりのサンフレッチェ広島キャプテンの佐藤寿人選手。
寿人の好きなスタジアムとして、仙台のユアテックスタジアム、千葉のフクダ電子アリーナについて語ってくれました。あとは、ジェノヴァにあるスタディオ・ルイジ・フェッラーリス。さすがセリエA好き。というかマニアック(笑)
実はこのスタジアム自分も気になってました。なんかいいスタジアムないかな~って探してたところ思わずおおっ!っとなってしまったスタジアムがスタディオ・ルイジ・フェッラーリス。だって。。。跡地委員会のサカスタパースに似てたから。。。
上の画像は、Sketch upのスタディオ・ルイジ・フェッラーリスのモデル画像だけれど、今見てもやっぱり跡地委員会でのサカスタモデルにそっくり。小さいけれどもその街の良さが出ているような雰囲気のスタジアムがお気に入りと言っていました。
他には、ヨーロッパチャンピオンズリーグの決勝がバイエルンvsドルトムントとブンデスリーガ同士の対戦であったことに触れて、ブンデスリーガ勢の躍進はスタジアム環境の改善が影響してるのではとも。もちろんそれだけが全てではないだろうけれど、ひとつの要因としては自分もそう思います。
そして最後に「サッカーはワールドワイドなスポーツ、平和都市広島をアピールするためにも旧広島市民球場跡地にサッカースタジアムができることを願ってる」と。
昨日試合が終わったばかりで広島に帰ってきて、水曜日にはすぐにまた試合があるのに、シンポジウムに来てアピールしてくれて。。。寿人さんには本当に頭が下がります。
あとは女子サッカーのアンジュヴィオレ広島の選手達も登場して広島サカスタ建設へアピールしてくれました。
ビッグネームの登場、そしてこの時期での跡地にサカスタ宣言は広島サカスタ協議会への先制パンチでしょう。
ヨーロッパのサッカースタジアムの機能・事例の紹介
これは、今までも中国新聞や広島各局のテレビでもたくさん流れてきて、自分としてはそれをもう一度振り返るというような内容。
- スタジアムの臨場感と一体感
- 都市機能としてのスタジアム
- スタジアムの収入源
の3つの観点からヨーロッパのスタジアム参考例を紹介されました。
参考例としてあげられたスタジアムは、
- グリュックスガス・シュタディオン(ドレスデン、ドイツ)
- ザンクト・ヤコブ・パルク(バーゼル、スイス)
- フォルクスワーゲン・アレーナ(ヴォルフスブルク、ドイツ)
- ディープデイル(プレストン、イングランド)
- エスプリ・アレーナ(デュッセルドルフ、ドイツ)
- アムステルダム・アレナ(アムステルダム、オランダ)
- エスタディオ・ダ・ルス(リスボン【ベンフィカのホーム】、ポルトガル)
- ラインエネルギー・シュタディオン(ケルン、ドイツ)
などなど、基本的にはピッチと客席が近いサッカースタジアム、そして街の象徴になるサッカースタジアム、いろんな複合機能を持たせることで収入源となり、稼働日数を確保するスタジアムということができるという紹介。
自分としては、いろいろと工夫することで維持費の問題はクリアできそうというのは固まったと。というか今のエディオンスタジアムでも工夫すればなんとかなるだろうになぜやらない。。。という疑問がかなりあります。これこそ広島市と管理者の怠慢。
広島に新しいサッカースタジアムを建設するにしても、大事なのはどう活用するかのアイディア提案。それについて夢スタ実行委員会がみんなからアイディアをもらいながら詰めていきたいということで、アイディア募集するそうです。
ヨーロッパのスタジアムで自分が一番印象に残ってて一押しなのはワッキーことサンフレッチェ広島の森脇広報部長も一押しだったプレストンのディープデイル。
コーナー部にある4本の照明塔は街のシンボル。メインスタンドにあるアナログ時計は、昔は時計を買うことができない人が多くて、みんなが時間を見るためにスタジアムの時計を見ていた、それをそのまま残しているとか。。。
まさに、スタジアムが街の誇りであり、歴史と伝統をつなぐいい例。自分はこういう話しに弱いです。
日本国内のサッカースタジアム最新動向・事例
ここはJリーグの佐藤仁司さんからの報告。スタジアム建設で観客が140%増加した千葉の例や、クラブライセンス制度、Jリーグ規約(競技場という言葉は消してスタジアムにした、スタジアム新設&改修は全席屋根の設置の義務付け)の話しをしてくれました。
自分が印象に残った話を何点か。
AC長野パルセイロ 新サッカースタジアム
間違いなく来シーズンからJリーグに加盟するであろう長野県長野市をホームとしているAC長野パルセイロ。
サカスタ建設の動きや話しの中では有名な話しではあるけれど、長野市のサッカースタジアム建設はぱっと出てきてあっという間に決まってしまった。普通は設計に1年、建設に2年とサッカースタジアムを作ることが決まってもそれぐらい時間がかかるそうです。
それが長野はもう2015年シーズンの開幕時には新スタジアムができていると。すごいな。というかうらやましい。。。
素晴らしい資料が満載なので、ぜひ長野市のホームページを見てくれとおっしゃっていました。自分はまだ見てないけれど今度見てみます。
悲惨な状況のエディオンスタジアム広島 経済効果の損失
サンフレッチェ広島のホームスタジアムであるから、大嫌いとは絶対に言えないけれども、やっぱり悲惨な状況のエディオンスタジアム広島。このへんはサポーターの自分としても何と言っていいやら難しいところです。
Jリーグクラブのスタジアムの平均アクセス時間と比べるとEスタはアクセスに時間がかかるのはよく知られていること。
自分がうわぁ!って思った公開されたデータは街の中心部からスタジアムまでの距離。エディオンスタジアム広島は約9kmとJリーグクラブの中ではもうダントツの遠さ。
そのことから、だけとはいいきれないけれど、スタジアムへのアクセスに自動車を使う人が多く、データでは観戦者の70%が自家用車利用。ということはスタジアムに来て試合を見た後、そのまま車で家に帰っちゃうと。
スタジアム帰りに街中に寄る事なく家に帰ることで、経済効果の損失が年間約80億円はあるとおっしゃってたのがすごく印象に残りました。これはぜひそのデータを一般公開してほしい。
雨の日のエディオンスタジアム広島コンコースの大量ホームレス状況はもはや笑い話(笑)
スタジアムから5km圏内の人口が核
なんとなくわかるようなわからないようなことなんだけど、スタジアム観客数に関しては「スタジアムから5km圏内の人口がデータ的に核」なんだそうです。
今のエディオンスタジアムだと8万人。これも本当に目をつむってしまうような悲惨なデータ状況と。ちなみに旧広島市民球場跡地にサッカースタジアムとなると、スタジアムから5km圏内の人口は56万人。ものすごい違いです。
広島サッカースタジアムへの期待
佐藤さんの話しの最後に広島サッカースタジアム建設への指針と期待を語ってくれました。
- サッカースタジアム建設をとにかく決定する
- そしてその後に建設地を決める
その通りと言えばその通りなんだけれど。。。サッカースタジアム協議会が来月から開催されるとは決まってるけれど、広島としてはまだサッカースタジアムを建てますと決まってるわけではない。
最悪のパターンとして、協議会で広島にサッカースタジアムは不要となる可能性もまだあるんじゃないかと自分は感じてます。
せっかくようやくここまで盛り上がってきた広島サカスタ建設の機運。サカスタ不要となることだけは絶対に避けたい。けど、そこはもう頑張って伝えていくしかないかなと。
そして佐藤さんの締めの言葉として、
「J1王者にふさわしいスピードを期待しています。」
それ、ぜひ広島の松井市長に直接言ってもらえたら。。。自分も頑張らねば。
夢スタ実行委員会のセカンドステップ
ファーストステップとしては、まずは署名を集めて提出したと。そしてここからが大事なセカンドステップ。セカンドステップとしては
- 夢スタジアムを望む全てのみんなが夢スタジアム実行委員。「サッカースタジアムは街づくりの一貫」を広く伝えることをみんなでやろう。
- 複合型スタジアムのアイディアをSNSやメールで広く募集する。
- シンポジウムやセミナーをこれからも開催し続けていく
とのこと。1番が大事。本当に大事だと思います。そのためのツールや手法も必要かな。
そのツールのひとつとして、旧広島市民球場跡地にサッカースタジアムを入れた新イメージも公開されました。
シンポジウムの話題に出てこなかった肝心な部分 その1 スタジアムの規模
とりあえず夢スタ実行委員会(サンフレッチェ広島、広島県サッカー協会、サンフレッチェ広島後援会)の中では「旧広島市民球場跡地に3万クラスのサッカースタジアム建設を目指す」ということは統一した。
ただそれだと、そこでワールドカップはおそらく開催できない。サッカー日本A代表の試合は親善試合ならできるかもだけど公式戦はまずない。そこでもめてるのが気がかりではあったんだけれど、そこの議論は一体どうなって、「旧広島市民球場跡地に3万クラスのサッカースタジアム建設を目指す」となったのか。そこは気になるところです。
個人的な想いでしかないけれど、日本でいつ開催できるかもわからないワールドカップのためにスタジアムを準備しておくなんてバカバカしい気持ちもするし、日本代表の公式戦なんて、いまやすべて埼玉スタジアムでやってる。だから、年間を通して常時使用するサンフレッチェ広島を一番重要視した「旧広島市民球場跡地に3万クラスのサッカースタジアム建設を目指す」というのが当然でしょうという考えです。
シンポジウムの話題に出てこなかった肝心な部分 その2 エディオンスタジアム広島の活用策
仮に新スタジアムができたとすると、今のエディオンスタジアム広島はどうする?まあ広島のことを考えると当たり前だけれども無視はできない。
これもいろいろとアイディアを募集した方がいいと思うけれど、それ以上に現状のエディオンスタジアム広島に対する広島市と管理者の怠慢が。。。
シンポジウムの話題に出てこなかった肝心な部分 その3 スタジアム建設費用
維持費はアイディアでとりあえずなんとかなることは広めることができそう。でも建設費用は。。。ここもいろいろとアイディアはあがってはいるけれど、費用の額が額なので、そう簡単にズバッとはいかない。
これは今後開催予定の広島サッカースタジアム協議会の大きなポイントだと思います。
まあ、シンポジウムの話題に出てこなかった部分については、今回のシンポジウムとは主旨が少々別のことではあるし、夢スタ委員会は発言力の大きいサンフレッチェ広島も絡んでの委員会だから。曖昧なことや確実に決まっていないことを発言することはできないでしょう。
これからこれから。なのかな?まあ、まずはセカンドステップを自分も頑張る。
それにしても、サカスタ協議会のスケジュールも聞いたけれど。。。約2年間かけて協議だったかな?このレスポンスの遅さには正直へこみます。
選手プロデュースのスイーツとかを提供する飲食店がスタジアム内にいっぱいできてほしいです。フワフワドームとかもあったら子どもが喜びます。ハーフタイムに紫の風船を飛ばすとこれも子どもが喜びます。もとからサッカーが好きな人だけが喜ぶスタンド付き競技場にならぬよう願っています。